機動警察パトレーバー公開当時はミリバーレル

改めて観てまったく古びない映画ですな、機動警察パトレーバーは。『踊る大走査線』等、影響を受けた作品は数知れず…でもあまり超えたって感じる事は無いよな…と思いましたです。M.I.IIIでもトム・クルーズが夜景に素子ダイブ決めてくれてるようだし、押井守って内容はともかく、真似したくなる映像表現に富んでるようですな。

今週末はたまっていたDVDを片っ端から観ましたのでその感想を書いてみましょう。

ブラザーズ・グリム
テリー・ギリアム映画というジャンルの中ではテレビシリーズ程度の規模だったけど、ショボイ現実と無敵のファンタジーの対立の構図は健在でした。
テリー・ギリアムが一貫して描いているのは、どこまでも塩辛くて逃れようが無い現実からの唯一の出口である夢想の無限の力と、現実のセメギアイって事だと勝手に思っているんだけれども---所謂豆の木。今までのギリアム作品では現実に対して今一歩、疑問符付きだった幻想の力も、グリム兄弟の銀紙(ではないけどね)の鎧が現実の弾丸からカバルディの命を救ったり今回はがんばっております。
ちなみに番外編(笑)の『ロスト・イン・ラマンチャ』はテリー・ギリアム自身を主人公にしたテリー・ギリアム映画だと思ってます。あの事件の所為なのか、グリム兄弟の仕掛けの舞台裏が映画撮影現場そのものへの皮肉ともとれるショボさ加減でグリム兄が幻想に対して強烈に---何度も激昂するほど---批判的なのが素敵でした。

パルプ・フィクション
人は会話がされているとその内容を聞いて意味を理解しようとする習性があるのだな。物語というのはその欲求にかなりストレートに答えるというお約束があるのだが…延々と続く不毛な無駄話ですっかり頭をヤラレテいったい何を観たのか覚えてません…意味も内容も無い言動のただただ量があるだけってのは誉めたくはないが確かに体験として…いい加減古い映画ですが…新鮮でした。でも、頼むからその史上最高にうっとうしい会話はもう止めてくれ…。
金時計のエピソード最高!あの語りはクリストファー・ウォーケン以外考えられんな。

『サハラ』
…『ハムナプトラ』的な地味だけど面白いって路線を期待したのだけれども……ここまでちゃんと作って面白くない作品も珍しかったです。キャラクターの配置やストーリー全てに於いて王道を尽くして何等期待に反することが無かったのが敗因かと思いますが。…シリーズ化は無いだろうなぁ。

亡国のイージス
原作読まないといかんらしい。まぁ読んでも登場人物各人の動機は弱い…けども。主人公に強い動機なんかは要らないのだが、テロリストと反逆自衛官には事を成す為の大きな志があっても然るべきではないのかなと思いますが。主人公フラグの立った真田広之がいいのは当然だけど、中井貴一は巧い役者だなぁと再確認。あと後藤さん属性(fromパトレーバー)のついた岸部一徳。なんだかんだいって結構楽しめたのは、日本映画には珍しく役者で救われた所でしょうか。
真面目に考えると大学生が頭の中で考えた論文を否定する力が、平和ボケだのといった言葉を否定できるだけの現実が、現職の自衛官にはあると思うし、そういう物語が観たかったなぁと思いました。