『トゥモローワールド』DVD出てますね…

・内容について積極的に支持するところは無いのだけれども、言葉には表せない何かが心に残った事は確か。正直、あんまりいい映画だとは思っていないんだな。表面上の物語の薄さったらありゃしないし。

・随所にみられたプログレッシブロックからの引用や、タルコフスキー調の風景、キューブリック風の臨場感も、世界のどこかで日常起こっていることを切り取ったような映像も、なんだか借り物ばかりだなぁという居心地の悪い思いを超えて、なにか芯の部分で共感できる所でもあったのだろうか?ってちょっと自問自答してしまった不思議な映画、映像作品に対して許容度が広い方にはちょっと観ていただいて、この不思議な何者かを語り合いたいところであります。

・この映画では、主人公を常に、距離を変えつつ見つめ続ける読者(観客)視点がかなりの割合で使われています。このまるで(悪)夢を見ているような感覚にアテラレテしまったのか。

・ちょっと面白いと思ったのは、映画作品の物理的「視点」であるカメラっていうのはあくまで映画世界の中には「無いこと」にするお約束を、カメラレンズに付着するCGで作った血しぶきで破る事でリアリティを演出している所。(過去、こういう演出はコメディ等で、登場人物が観客に語る等のメタ視点の眩暈を狙ってのものでしたが)
CGをそれっぽく見せるのにレンズフレアを入れたり、何故かカメラの存在があると本物っぽく感じてしまうぐらいに人間の網膜ってのは外部に拡張されてしまっているのだなとか改めて考えたのでありました。

      • 脳/心が画を見る手段として絵画/写真は網膜の拡張と考えています、ワタクシ。人はこの外部の網膜でこそ美を見たりしますからね---

・この映画はいかにもインディペンデント映画のような映像やタルコフスキー記号がそれとなく散っていますが、タネあかしをすれば、「実はCGでそう作ってある」のですよね。それがために、この映画、贋作芸術映画というジャンルの代表作品先駆けかなと思っています。
スピさんもこの手で『A.I.』作れば面白かったのにね…