わしのヒーロー

中島敦グレッグ・イーガンアルフレッド・ベスター中原中也
これがわたしくしの文学上のヒーローですね。
時として入れあげる作家は入れ替わりもするけど、いつかこの四人に帰ってくる、わしなのであります。

中島・イーガン組は「己とはなんぞや」という問題に「答えがないのが答え」あるいは「答えを見つける過程こそが答え」などという逃げを打っていない部分が素晴らしくその煩悶を共に抱えていたりします。
中島敦の中ではそれを見極める者は異形であったり狂気であったり世界からスリップしてしまうのですが、グレッグ・イーガンの場合、誰もが異形であったり狂気であったりすることを前提とした社会を描いているところが21世紀ってすんばらしいとか思いますが。

ベスターと中也は何よりもその言葉の喚起するイメージの力に圧倒されます。多分、心あるものというか思考するタンパク質であるところのわしはいろいろの情報を受けては忘れているのでしょうが、その中でもとりわけ美しいかなと思った何事かを言葉という鍵で思い起こさせてくれるその力にはいつも驚かされます。

ちなみに、中島らもメンヘル系のヒーローというか反面教師というか…中年になって頭の回路が断線気味で、最近「牛しゃべり」だしねわし。

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)

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李陵・山月記・弟子・名人伝 (角川文庫)

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エンタティンメントに徹している部分も非常に面白いのですが、「それ以外」の部分に注目して欲しい一冊でございます。

永遠も半ばを過ぎて (文春文庫)

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